市場には出回ることのないコクのあるみかんです
ウチで出荷しているみかんは、現在のところ週1回、横浜の戸塚でしか購入できません。
もともと父が開拓した販路なのですが、そこでほぼ売り切れてしまいますので
市場や問屋には一切出荷していないのです。
ウチのみかんは消毒の回数を減らしています。
ですから中身にはまったく影響はありませんが、すべて見栄えがいいというわけではありません。
市場や問屋は見栄えのいいものを求めているので、ウチとの相性はあまりよくない(笑)。
それに、出荷したらどこでどうやって、いくらで売られているのかもわかりません。
それより、直売の方がお客様の反応がダイレクトに返ってくるので楽しいですね。
市場には出回ることのないコクのあるみかんです
先日、直売でこんな会話がありました。
2012年暮れは不作のため値が上がっているというので、
お客様に「このあたりのスーパーでは、今いくらぐらい?」と尋ねてみたのです。
すると「知らないわよ。あんたのところでしか買わないから、スーパーでみかんなんて見たことない」
とおっしゃる。価格を抜きにして、いつもウチを選んでくれていることに感激しました。
実は、不作で高くても、豊作で安くても、ウチのみかんの価格はいつもほとんど一緒。
それでも、軽トラの荷台一杯が毎週ほぼ売り切れてしまう、それがウチのみかんです。
みかん栽培に適した地形でスタートは明治時代
国府津は北側が山のため冷たい風が当たらず、また段々畑なので陽当たりや水はけがとてもいい。
そんな地形がみかん栽培にぴったりだったのでしょう。
明治の頃から盛んになったらしいのですが、ウチも祖父の代からなので70〜80年の歴史があります。
私が子供の頃は山全体がみかん畑で、それはそれは鮮やかなものでした。
今はだいぶ減ってしまいましたが、今でもウチの畑には300本近くあると思います。
ただ、近年いろいろなフルーツが出回るようになって人気も下降、
採算も合わなくなり、みかん栽培をやめてしまう農家が多いのも現状です。
おいしくて安全なものを提供したい
やめていく農家がある中、直売で
「おいしい」「他のは食べられない」「懐かしい」
「昔のみかんの味がする」「コクがある」「来年もまた来て」
という生の声を聞くと、簡単にやめるわけにはいきません。
真冬の剪定、真夏の草刈りや摘果など苦労はありますが、
これからもできるだけ頑張っていこうと思っています。
消毒は低農薬にしたり、回数も減らしています。
除草剤を撒けば楽なのはわかっていますが、
あえて使わず草刈りも自分でやっています。
よりいいものを、よりおいしいものを、
そしてより安心できるものを、いつまでも届けたいと思うからです。
むかしながらのみかんはコクがあるみかん
現在ウチで作っているみかんは、
主に「青島みかん」と「大津みかん」です。
ただ、品種が同じならみんな味も同じかといえば、
そうではありません。
ウチの畑でも、同じ時期に植えた樹であっても、
場所が少し違うだけで明らかに味に差が出ることもあるのです。
そうはいってもウチの畑のみかんは全般に糖度が高く、
それでいて酸味があるのが特徴。
それが、お客様がよくおっしゃっていただく“コク”に
つながっているのだと思います。
戸塚の直売では、よくお客様から「親戚に送ってほしい」と頼まれるのですが、
配送先のほとんどが東北や北海道。どうやら濃い味を好む方たちに人気のようです。
ウチの「むかしながらのみかん」のイメージ、わいてきましたか?